老後2000万の報告書の中身とは?わかりやすく最後に6行で解説!

老後2000万の報告書の中身とは?

2019年6月3日に公表された金融庁の金融審議会がまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」という報告書が話題になっていますね。

公的年金だけでは老後毎月5万の赤字が出た場合、30年間で2000万円必要になるという内容です。

では、実際に何が書かれているのか皆さんは中身をチェックされましたでしょうか?

今回は「高齢社会における資産形成・管理」報告書の重要だと思う部分のみ抜粋して解説します。

全部を読んだ感想としては、日本の現状データを活用しながら、多様化なこの時代にそれぞれライフプランに適した運用の仕方は何かを説明しています。その方法一つとしてNISAやiDecoを利用することを推奨していますが、現状のNISAやiDecoの問題や課題などにも触れ、中立的な視点から報告されているので[span class=”yellow”]なぜここまで問題となったか不思議なくらいです。[/span]

それでは、説明していきます。

目次

はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化)・・・・・・・・・・・・ 3
( 1 ) 人 口 動 態 等 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3
ア . 長 寿 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3
イ.単身世帯等の増加 ・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・ 4
ウ.認知症の 人 の 増加・ ・・・・・・・・・ ・ ・・・・・ ・ 6
(2) 収入・支出の状況・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・・ 8
ア.平均的収入・支出・・・・・ ・・・・ ・・・・・・ ・ ・ 8
イ . 就 労 状 況 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ 1 1
ウ . 退 職 金 給 付 の 状 況 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 3
( 3 ) 金 融 資 産 の 保 有 状 況 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・ ・ ・ ・ ・ 1 5
( 4 ) 金 融 環 境 に 対 す る 意 識 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 8
2 . 基 本 的 な 視 点 及 び 考 え 方 .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 1
(1) 資 産 寿 命 の 延 伸 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 1
(2) 個 々 人 の ニ ー ズ の 多 様 化 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・・・・・ ・ 2 3
( 3 ) 自 助 の 充 実 の 必 要 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 4
( 4 ) 認 知 ・ 判 断 能 力 の 低 下 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 4

3.考えられる対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 5
( 1 ) 個 々 人 に と っ て の 資 産 の形成・ 管 理 で の 心構え・・・ ・ ・ 2 5
(2)金融サービスのあり方.・・・・・・・・・・・・・・・・2 6
(3) 環 境 整 備 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 8
ア.資産形成・資産承継制度の充実・・・・・・・・・・・・・2 9
イ.金融リテラシーの向上・・・・・・・・・・・・・・・・・3 2
ウ . ア ド バ イ ザ ー の 充 実 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・・・ ・ 3 3
エ.高齢顧客保護のあり方・・・・・・・・・・・・・・・・・3 3
4.おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
(付属文書1)高齢社会における資産の形成・管理での心構え・・ 3 7
(付属文書2)高齢社会における金融サービスのあり方・・・・・ 4 4

P1~20は今日本が置かれている状況について詳しく記載されています。各世代別データなども充実しており、是非読んでおくべき内容です。また、世間で騒がれている老後2,000万円足りないという内容についてはP10とP17に記載されていますので、そこだけでも確認することをオススメします。

長寿化と少子化

日本人は年々長寿化している。

1950 年頃の男性の平均寿命は約 60 歳であったが、現在は約 81 歳まで伸びている。

現在60 歳の人の約4分の1が 95 歳まで生きるという試算もあり、まさに「人生 100 年時代」を迎えようとしていることが統計からも確認できる。

人工ピラミッドでは「富士山型」であったものが、現在は「つぼ型」であり、今後も「つぼ型」の形状は変わらず、高齢者が若年者に比べて突出して多いという姿になることが見込まれている。

人口構成が「富士山型」であった頃の家族形態は、親と子の世帯や祖父母を含めた三世代世帯が多かった。

しかし、最最近では、少子化等を背景として夫婦のみの世帯が割合を伸ばすとともに、未婚率の上昇やライフスタイルの多様化と相まって、近年単身世帯もその割合を急速に伸ばしている。少子化や晩婚化の動向を踏まえると、今後もこうした傾向は続くものと思われる。

平均的収入・支出

わが国では、バブル崩壊以降、「失われた 20 年」とも呼ばれる景気停滞の中、賃金も長く伸び悩んできた。

公的年金の水準については、中長期的に実質的な低下が見込まれているとともに、税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後もこの傾向は一層強まることが見込まれる。

また、収入も年金給付に移行するなどで減少しているため、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。

この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。

収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる。

世間で2000万問題として騒がれているのこの部分ですね。報告書は画質が荒いので、別の画像を引用しますが、「その他」の費用が多くなっています。現在の支出額と比較して自信の老後がこの枠内に収まるかどうかよく考えてみましょう

就労状況

わが国の高齢者は総じて元気である。

これは、他国に比して、また過去と比較しても当てはまる。

他方、若年層を中心に働き方は多様化している。

多様なスキルを身につけ、そのスキルを生かしながら、一つの企業に留まらず働くということは、長く働き続けることができる可能性を高めうる。

その一方、退職金が一定の勤続年数に応じて発生する又は勤続年数に比例して増加する形式の場合、転職が多い者や自営業も含め企業や組織に留まらない働き方の者は退職金が受け取れないか、退職金があっても低い水準になる可能性がある。

すなわち、一つの企業に留まらない働き方は、多くの者にとって老後の収入の柱である退職金給付という点で不利な面もある。

退職金給付の状況

わが国に根付いてきた賃金制度として、退職給付制度がある。

かつては退職金と年金給付の二つをベースに老後生活を営むことが一般的であったと考えられる。

しかし、長寿化による影響はもちろんのこと、公的年金の水準が当面低下することが見込まれていることや退職金給付額の減少により、こうしたかつてのモデルは成り立たなくなってきている。

この退職金の推移について詳しく見ていくと、退職金給付制度がある企業の全体の割合は徐々に低下をしており、2018年で約80%となっている。

この割合は企業規模が小さくなるにつれて小さくなる。

また、定年退職者の退職給付額を見ると、平均で 1,700 万円~2,000 万程度となっており、ピーク時から約3~4割程度減少している。

今後見込まれる雇用の流動化の広がりを踏まえると、退職金制度の採用企業数や退職給付額の減少傾向が続く可能性がある。

退職金制度の有無、その給付金額は退職後の生活に大きな影響を及ぼしうるため、自身の退職金の見込みや動向については、早い段階からよく確認しておく必要がある

退職金の金額の大きさを踏まえると資産運用に回す金額は多額であると言えることから、こうした投資を行う際には、運用方針や資産運用にあたって必要な金融に関する知識を、事前にある程度は身につけてから臨むことが望ましいと言える。

金融資産の保有状況

全体的な傾向として、若年層よりもシニア層の方が全体に占める金融資産の保有割合が高く、この傾向は今後も続く見込みである。

また、若年層は住宅ローンなどの負債を比較的多く抱えている。

なお、米国では 75 歳以上の高齢世帯の金融資産はここ 20 年ほどで3倍ほどに伸びている一方、わが国の同年代の高齢世帯の金融資産はほぼ横ばいで推移しており、対照的な動きとなっている。

米国では、市況が好調だったことに加え、401(k)プラン等の制度的な後押しもあり、現役期から資産形成を実行し且つ継続するとともに、そのような世代が歳を重ねるに従い、高齢世帯の資産が増加していったと推察される。

この点、わが国でも後述するつみたて NISA や iDeCo 等が整備され、個人が長期の資産形成を行うに際して、制度的な環境が整いつつある。

金融環境に対する意識

では、こうした環境変化に対応して、国民は老後の生活をどのように意識しているか。内閣府が実施した世論調査では、「老後の生活設計を考えたことがある」と回答した人は、全体で 67.8%となっており、60 代をトップに30 代以上では軒並み 50%以上となっている。

また、「ある」と回答した人に対して考えたことがある理由は何かを問うたところ、多数を占めた回答が「老後の生活が不安だから」であり、多くの人が老後生活に不安を抱えている現状がわかる。

では、こうした老後の資金の不安に対して、どのように対処すればよいと考えているか。

資産寿命2を延ばすために必要なことを尋ねた調査によれば、「現役で働く期間を延ばす」、「生活費の節約」を挙げる回答が多いが、このほかに約3割の者は「若いうちから少しずつ資産形成に取り組む」を挙げている。

他方、別の調査では「老後に向け準備したい(した)公的年金以外の資産」として「証券投資(株式や債券、投資信託など)」を挙げた者は2割以下に留まり、実際に投資を行っている者の割合はこれよりもさらに低い水準となっていることが予想され、意識と行動に乖離があることが窺える。

投資による資産形成の必要性を感じつつも、投資を行わない理由として上位を占めているのが、「まとまった資金がない」、「投資に関する知識がない」、「どのように有価証券を購入したらよいのかわからない」という回答であり、顧客側の問題に加え、金融機関側が顧客のニーズや悩みに寄り添いきれていない状況が窺える。

P21~24からはこれからの時代、様々なライフスタイルを過ごす人が多く、一概には言えないが公的年金だけでは足りないので自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用していく必要があることを訴えている。また

公的年金だけでは望む生活水準に届かないリスク

人口の高齢化という波とともに、少子化という波は中長期的に避けて通れない。

前述のとおり、近年単身世帯の増加は著しいものがあり、未婚率も上昇している。

公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないが、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。

今後は、公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある。

年金受給額を含めて自分自身の状況を「見える化」して老後の収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要があるといえる。

P25~はそれぞれの年代別における運用方法や心構えについて解説している。また金融サービス側のあり方についても触れている

個々人にとっての資産の形成・管理での心構え

現役期

長寿化に対応し、長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期であり、例えば、以下のような対応が有効と考えられる。

 「人生 100 年時代」においてこれまでよりも長く生きる人が多いことを前提に、老後の生活も満足できるものとなるよう、早い時期からの資産形成の有効性を認識する。

 生活資金やいざというときに備えた資金については元本の保証されている預貯金等により確保しつつ、将来に向けて少額からでも長期・積立・分散投資による資産形成を行う。

 自らにふさわしいライフプラン・マネープランを検討する(必要に応じ、信頼できるアドバイザー等を見つけて相談する)。

 金融サービス提供者が顧客側の利益を重視しているかという観点から、長期的に取引できる提供者を選ぶ。

リタイヤ期前後

リタイヤ期以降の人生も長期化していることに対応し、金融資産の目減りの抑制や計画的な資産の取崩しに向けて行動する時期である。

人によって、退職金などの多額のお金が入ったり、働き方に変化が生じることが想定されるため、これらを受けた対応が必要と考えられる。

 退職金がある場合、早期の情報収集と使途の検討及び退職金を踏まえたライフプラン・マネープランを再検討する。

 必要に応じ、収支の改善策を実行する。

 長い人生を見据えた、中長期的な資産運用の継続(長期・積立・分散投資等)とその後の計画的な取崩しを実行する。

高齢期

資産の計画的な取崩しを実行するとともに、認知・判断能力の低下や喪失に備えて行動する時期であり、心身の衰えに関わらず金融サービスを引き続き享受するために、事前の準備や対応が必要と考えられる。

 心身の衰えを見据えてマネープランを見直す(医療費、老人ホーム入居費等)。

 認知・判断能力の低下や喪失に備え、取引関係の簡素化など心身の衰えに応じた対応をしやすくする。
また、金融面の本人意思を明確にしておき、自ら行動できなくなったとしても、他者のサポートにより、これまでと同様の金融サービスを利用しやすくしておく。

P28~34はNISAやiDECOといった資産形成を支援する制度を活用することを促している。また制度自体の改善と今後の課題や金融リテラシー向上の重要性にも触れているため、中立な立場で意見を述べているといえる。

資産形成・資産承継制度の充実

ライフステージを通じた長期の資産形成における長期・積立・分散投資の有効性についてはこれまで述べてきたとおりであるが、こうした長期に亘る資産形成を支援する制度として、税制面で一定の優遇が行われている「つみたて NISA」と「iDeCo」がある。

つみたて NISA は年間 40 万円までの積立投資について運用益が非課税(2037 年までの時限措置)であり、手数料等が安い公募株式投資信託商品などに限定されている。

20 歳以上の国内居住者であれば誰でも利用でき、その資産はいつでも引き出し可能である。

iDeCo は、掛金の上限は年間 14.4万円~81.6 万円であり、運用益は課税停止中であることに加え、掛金も全額所得控除、年金受給時も一定の税優遇がある。

商品は各金融機関等により異なるが、国内外の株式・債券や投資信託など幅広く取り扱う。

加入可能年齢は 20 歳から 60 歳までとなっており、その資産は年金という制度趣旨に鑑み、60 歳になるまで中途引き出しは原則不可となっている。

ライフイベントに応じて引出すことが可能なつみたて NISA と、年金制度として所得控除が認められている iDeCo とは、両者を併用することで、住宅購入などの計画的に準備が必要な支出や、病気、事故、失業などの予想外の支出への備えをしつつ、老後に向けた資産形成が可能となるものである。

よって、お互いが補完しあう関係として活用が進むことが望ましい。

このように、制度面では、個人の資産形成を促す制度が相応に整備されてきているといえる。

また、保有可能期間は5年間と短いが同じく個人の資産形成に資する制度として一般 NISA が存在する。

制度開始からの5年間で口座数が 1,100 万口座を上回り、つみたて NISA に先行して個人投資家の増加に寄与してきたが、そうした普及に向けた取組みと並行して、つみたて NISA、iDeCo ともに、利用者の声を聞きながら、制度そのものの改善にも努めていくべきである。

P35~51はさいごの言葉と各世代別における運用のあり方と方法のまとめについて記載されている。こちらについては別の記事でまとめてみます。

総まとめ

今回の報告書で言いたいことまとめると下記6行に集約されます。

「日本人は長生きするようになったため、それだけ老後のお金が必要である。

そのためには、ライフステージ別に資産寿命を延ばすことが大事である。

また世界各国でも前例ない高齢化対応に日本はトップランナーとして取り組んでいるが、皆が手探りで議論を行っ
ている現状である。

皆で高齢社会における資産形成・管理や金融サービスのあり方に対する知見を深めていくことを通じて、対応のあり方が進化
していくものを期待し、各々が「自分ごと」として本テーマを精力的に議論することを期待している。」