資産運用方法の解説 ⑩不動産投資 ~特徴とメリット・デメリットについて解説~

不動産投資の位置づけ


今回解説するのは「不動産投資」についてです。

リスク・リターンマップでは、ミドル~ハイリスク・リターンにあたります。

それでは早速説明していきます。

不動産投資とは

不動産投資とは、マンションやアパートなどの不動産に投資をおこない、その売却益や家賃収入で利益を得ていく資産運用方法です。

投資の方法には2通りあり、個人で不動産を購入し運用する直接投資か、特定の不動産物件に対して投資をおこない配当を得ていく間接投資かになります。

直接投資には不動産購入のため、多額の資金が必要となりますが、間接投資の場合はそこまでの高額な資金は必要ではありません。

最近では、直接投資でも頭金0円でマンションなどを購入し、家賃収入でローンを返済していく運用法も提案され、大きな資金を持たなくても大丈夫という商品も出ているようです。

売却益による大きなリターンが目的の場合もありますが、それよりも老後の年金生活の助けとなるよう、長期的に安定した収入が得られる家賃収入を目的とした運用が注目されています。

不動産投資の始め方

不動産会社や不動産投資会社を通じて、投資用物件を購入すれば、いつでも誰でも不動産投資を始めることができます。

ただし購入の前提として、莫大な資金が必要なのは言うまでもありません。

そのような資金を一括で払える人はほとんどいない以上、不動産投資の第一歩は融資ということにもなります。

もちろん融資には審査が必要なので、過去数年内に何らかの金融事故を起こしたことのある人には、不動産投資が難しくなります。

ただ、特に大きな金融事故歴もなく、かつ定期収入のある人ならば、仲介する不動産会社のあっせんのもとで比較的容易に審査に通過すると言われています。

融資が決まれば、あとは不動産会社と物件探しです。

自分が希望する物件タイプにこだわることも大事ですが、プロである不動産会社の意見を十分に取り入れることも大事です。

融資と物件が決まれば、物件購入手続きや募集活動を行ない不動産投資がスタートします。

なお、不動産経営においては、物件を放置しているだけで自動的に家賃収入が入るわけではないので注意してください。

借主が転居して空室になるリスクや、家賃が滞納となるリスクもあります

入居者の満足度を維持するために、定期的なメンテナンスも必要ですし、入居者の募集活動も行わなければなりません。

他に本業を持っている人は、これら様々な業務を専門の管理会社に一任したほうが現実的でしょう。

不動産投資の種類と、それぞれの特徴

不動産投資を大きく分けると、実際に物件を購入したり建設したりする「直接投資」方式と、不動産に投資をするファンドを購入する「間接投資」方式とがあります。

一般には「直接投資」のほうを指して不動産投資と呼んでいますが、ここでは「直接投資」とあわせて「間接投資」についても簡単に触れておきましょう。

不動産の直接投資

自己資金で不動産を直接購入し、借主から家賃収入を得る投資法です。

あるいは、駐車場などを建設して利用料を得る投資法も、広い意味では不動産の直接投資ということになるでしょう。

近年広く行われている不動産の直接投資は、マンションやアパートの経営です。

物件を一棟まるごと購入して入居者全員から家賃収入を得る方式や、あるは、一棟の一部分(部屋一室など)のみを購入して入居者から家賃収入を得る方式などがあります。

一棟まるごとを購入する場合はもちろんですが、一部のみを購入する場合でも莫大な資金を必要です。

そのため、ほとんどの投資家は融資を利用してマンション経営を行なっているのが現状です。

万が一、物件に空室が生じた場合や家賃滞納などがあったには、融資に対する返済が滞る恐れがあります。

不労所得を夢見てマンション経営に乗り出す人も多いようですが、一般にイメージするほどマンション経営は簡単な仕事ではありません。

不動産の間接投資

不動産投資ファンドに投資をする方法です。

不動産を運営するのは投資家本人ではなくファンドの母体業者となるため、投資家から見れば間接的な不動産投資ということになります。

投資家の収益は、家賃収入を原資とした分配金です。

ファンドの運営母体が、入居者の決まった不動産を購入し、なおかつ期間を定めて運営するため(満期がある)、分配金は安定し、なおかつ価格の下落リスクは低くなると言われています。

なお、一般的にファンドと言うと証券会社や銀行の窓口を通じて購入する投資信託を指しますが、不動産ファンドの多くは、ファンドを組む業者から直接購入する私募投資信託の形をとっています

また、広い意味では東京証券取引所に上場しているJ-REITが不動産間接投資の一種と言えますが、日々の荒い値動きに鑑みれば、J-REITは不動産投資というより株式投資に分類すべきでしょう。

不動産投資で成功するためのポイント

不動産投資で成功するためのポイントは4つです。

  1. 高利回りが期待できる不動産に投資する
  2. 空室リスクの低い不動産に投資する
  3. 割安な不動産に投資する
  4. 資産価値が高い不動産に投資する

すべて、当たり前のことと言えば当たり前です。

ただ、この当たり前に該当する不動産を探し当てるのは、決して容易なことではありません。

それぞれのポイントを見ていきましょう。

高利回りが期待できる不動産に投資する

一般に、投資用物件の利回りとして表示されている利率は、表面利回りが使われています。

表面利回りとは、単純に年間収入を購入価格で割って計算した利率のこと。グロス利回りとも言われます

表面利回り通りの収益が上がることは、現実的にはありえません。

不動産経営には、様々な経費がかかるからです。

むしろ、意外に表面利回りの低い不動産のほうが、実質的な収益が高くなることすらあります。

表面利回りだけを見て不動産を選ぶことのないようにしましょう

注目すべき利率は実質利回りです

実質利回りとは、年間収入から年間支出を差し引いた金額を、購入価格で割って計算した利率のことです。

管理費や修繕積立金、固定資産税、火災保険料、税理士報酬など、様々な経費を差し引いたうえでの実質収益をもとに計算しているため、より現実に近い利回りが分かります。

不動産経営において空室が一度もないこと、突発的な出費が一度もないことなどはありえないでしょうから、実際には実質利回りを下回ることがほとんどでしょう。

ただ、表面利回りよりは実質利回りのほうが信憑性の高い利率になるので、物件選びの際には実質利回りを見るようにしましょう

空室リスクの低い不動産に投資する

空室は不動産経営の中でも、最大のリスクです。

家賃収入が止まっても、ローン返済は止まりませんので、不動産を選ぶ際には、特に神経質になりたいポイントです。

空室になりにくい不動産とは、まず交通や住環境的な利便性が高い物件です。

最寄り駅から徒歩何分か、坂道はないか、開かずの踏切はないか、スーパーやコンビニが近くにあるか、飲食店がたくさんあるかなど、ごく一般的な感覚に照らして「こうだったら便利だ」と感じる不動産は、空室になりにくいでしょう。

また、管理がしっかりと行き届いていることも、空室をなくす大事なポイントです。

管理人が常駐しているか、共有部分の秩序が保たれているか、定期点検が行われているかなどを、しっかりと確認しましょう。

さらに近年は、防犯上の意味からオートロックや防犯カメラを設置するマンションも多く見られますので、時代に即した仕様を有しているかという点も、空室になりにくい不動産の大事な要素となるでしょう。

割安な不動産に投資する

その不動産の価格が、割安なのか割高なのか、または妥当な価格なのかを知る必要があります。

もちろん割安な不動産を購入するに越したことはありません。

不動産には「収益価格」という概念があります。

「収益価格」とは、その不動産が将来生み出すと想定される純利益、および、その不動産の現在価値のこと。

この「収益価格」と不動産の販売価格とを比較してみると、その不動産が割安なのかどうかが分かります。

なお、「収益価格」の算定には直接還元法やDCF法などの計算式がありますが、素人に計算することは難しいので、不動産鑑定士などの専門家に直接尋ねるほうが確実です。

あわせて、国土交通省が運営している土地総合情報システムもチェックしておくなどして、周辺の不動産相場の概要を知っておきましょう。

資産価値が高い不動産に投資する

不動産投資をする人の大半は金融機関のローンを利用していますが、金融機関では審査の際、その不動産の資産価値を最も重視しています。

資産価値とは、言い換えれば売却価値のこと。

万が一ローンの返済が不可能になったとき、金融機関はその不動産を売却して返済金にあてることになります。

そのため審査では、資産価値が高ければ高いほどプラス要素に働くと言われています。

不動産投資のメリット・デメリット・リスク

不動産投資のメリット

空室もなく、家賃や修繕費、管理費などの滞納もない場合には、毎月安定的な収入を得られる可能性があります。

物件購入時にローンを組んでいる場合は、ローンを完済してしまえば、家賃収入の大半が実質的な収益となります。

売却益が得られる可能性がある

物件のメンテナンスを通じて物件価値が上がった場合、または周辺の地価が上がった場合などは、その物件を売却する際、購入価格よりも高い値が付くことがあります。

インフレに強い

日本では、バブル後デフレ状態で価値の下落がありましたが、不動産はそれほどまでに下落はしていません。

下落どころか、たとえば霞ヶ関ビルの家賃は、この40年で10倍にも上がっています。

不動産価値は、景気の影響で大きく上下するイメージがありますが、実際にはインフレに強い安定的な資産と見ることができます。

生命保険機能が付いている

不動産を購入する際に設定するローンには、団体信用生命保険が付帯しています。

返済途中でオーナーに万が一のことがあった場合、代わってローンの残額を支払うための保険です。

万が一のことがあった場合でも、遺された家族が代わってローンを支払う必要もなく、家賃収入は家族にそのまま入る形になります。

なお団体信用生命保険の保険料は金利に含まれているため、別途で支払う必要はありません。

元本割れのリスクが低い投資商品もある

不動産の直接投資ではなく、不動産投資ファンドなどの間接投資の場合、すでに入居者が決まっている物件への投資であり、なおかつ物件への投資期間が比較的短期のため、安定収入を得られることはもとより、償還時に元本割れを起こす確率が低いと言われています。

不動産投資ファンドなら少額から始められる

不動産への直接投資の場合は、自己資金や融資などを通じて数千万円、数億円といった資金を用意する必要がありますが、不動産投資ファンドへの間接投資の場合は、一口100万円~など少額からの不動産投資が可能です。

不動産投資のデメリット・リスク

空室リスクや家賃滞納リスクなどがある

不動産投資には、常に空室リスクや家賃滞納リスクがあります。

家賃収入をそのままローンの返済にあてる予定だった人にとっては、空室や滞納は極めて由々しき事態です。

ローン返済は待ってくれないので、その場合にはやむなく自己資金からの返済となります。

定期的なメンテナンスなど雑務も多い

オーナーである以上、物件の設備などを定期的にメンテナンスする必要がありますので、コストを抑えるためにメンテナンスを怠ってしまうと、物件価値が下がって入居者が退去する可能性も出てきます。

時間とともに資産価値が下がる可能性が高い

建物は、時間とともに必ず老朽化しますので、修繕や耐震などをしっかりと行なっていれば、もちろん老朽化しても人は問題なく住めますが、一般的に、建物は時間とともに資産価値が下がると考えておく必要があります。

日本全体の人口減少に歯止めがかからない

マンションの数が増える一方で、日本の人口減少に歯止めがかかりません。

不動産は人が用するものである以上、人口が減ればその市場規模は縮小していく事が予想されます。

縮小の過程で淘汰される不動産のオーナーであった場合、損失は大きくなる可能性があります。

不動産投資の節税効果について

不動産投資には節税効果があることはご存知でしょうか。

税金の仕組みを正しく活用することで、節税のメリットを享受できます。

しかし、節税のみを目的とした不動産投資には、デメリットもあるため注意が必要です。

節税のメリット

減価償却のメリットは、現金での支出ではないにも関わらず、帳簿上の経費として計上できることです。

減価償却とは建物、建物附属設備などの資産は、時の経過によって価値が減っていくという考えに基づいています。

そのため、骨董品や土地など時が経過しても価値が下がらないものは減価償却資産とはみなされません。

また、減価償却資産を得たときの金額は、その年の経費にできるわけではなく、使用可能にあたる耐用年数に応じて、分割して必要経費にすることができます。

ただし、平成28年度の税法改正によって、平成28年4月1日以後に取得された建物附属設備及び構築物は、定額法のみが適用されるようになりました。

この税法改正以前に取得したものは、どちらか一方を選択できますが、税法改正以後の場合は、定率法は使えないので注意しましょう。

保育料の節約

節税によって、月々の保育料などを軽減することができます。

これは保育園の保険料が「住民税の所得割額」によって決定されるためです。

個人と法人では、住民税の所得割額は異なりますが、今回は個人の場合を例に紹介します。

個人の場合、「(前年の所得額-所得控除額)×10%-税額控除額」によって所得割額が決定される仕組みです。

不動産の減価償却は経費として、利益から差し引くことができるという利点があります。

そのため、現金の支払いなく、所得額そのものを減らすことが可能ですので、所得額が減ることによって、保育料も下がることになります。

ただし、所得割額は前年の所得を元に算出される点には注意しましょう。

経費の計上

不動産投資だけではなく、節税の基本は経費をしっかりと計上することです。

ここで重要なのは、なんでもかんでも経費にすることが節税につながるわけではないということで、賃貸収入を得るために、その支出が必要かどうかが見極めのポイントになります。

例えば、不動産投資の税金に対する相談のため、税理士のもとに訪れた場合の交通費は経費として計上できます。

しかし、税理士への印象を良くしようと、新品のスーツを購入した場合は不動産賃貸業と関連がないため、経費とすることができません。

経費として計上する場合、日付、金額、支払先などの情報がきちんと明記された領収書を残すことが基本となります。

さきほど、例にあげた電車賃など領収書が発行されない場合、税理士と会った日付・話した内容も加えて、詳細なメモを残しておくと良いでしょう。

利益が出ても低い税率に

不動産投資において所有する不動産を売却した場合、利益に税金がかかります。

個人の場合には譲渡所得(課税長期譲渡所得)、法人の場合には利益に対する法人税です。

どちらも譲渡価額から取得費と譲渡費用、特別控除を引いて求めます。

個人の場合には求めた譲渡所得に所得税(15%)、住民税(5%)、復興特別所得税(2.1%)がかかり、法人では経常利益が400万円未満で19%の法人税、800万円未満では25%程度、800万円を超えると33%程度になります。

また、5年以上不動産を所有している場合には、個人と法人のどちらも20%程度の税金になることも特徴です。

相続税の節税

不動産投資は、相続税対策になることもあります。

これは「小規模宅地等の特例」とよばれ、住宅用地について評価額を一定の割合で減額するものです。

つまり土地の上に住宅地が建っているだけで土地評価額が安くなります

相続税の計算は時価によるものではなく、相続税評価額によって計算されるので、このような特例が設けられています。

なぜ不動産投資が相続税の節税になるかというと、不動産は価値の計算方法が購入時の価格でなく、それよりも安い不動産評価額で判断されるためです。

そのため、相続税法では、更地よりも相続税を下げることができます。

節税が目的になるのは危険

ただ「不動産投資=節税対策のため」と考えるのは危険です。

不動産投資は、経営と同じようにキャッシュフローのプラス・マイナスに合わせて、会社事業のように進めていかなければいけません。

いわゆるサラリーマン大家さんの場合、不動産収入による赤字が出た場合、給与所得と合算できることを利用して、還付そのものを狙う人がいます。

一見お得な方法のように思えますが、これは年収1000万以上など課税所得が高い人向けの節税対策です

税率が高いことに悩んでいるのであれば、キャッシュフローでの持ち出しが節税によってカバーできます。

しかし、課税所得が低い場合、収支のマイナス、キャッシュフローのマイナスがそのまま生活費に影響してきます。

そのため、最初から節税を狙って不動産投資にチャレンジするのは、得策ではないといえます。

さいごに

以上が、不動産投資についての解説です。

その他の投資について勉強したい方はこちらを参考にしてください。